一般内科の診療
急に起こった不調(咳、発熱、頭痛、腹痛、吐き気・嘔吐、下痢など)、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、肥満など)、慢性疾患(貧血、喘息、肺気腫、不整脈、動脈硬化など)といった幅広い疾患の診察を行っています。
内科(一般)
かぜ症候群
上気道(鼻からのどまで)に急性炎症を来す疾患です。時に下気道(気管、気管支、肺)まで炎症が広がる事があります。主にウイルス感染が原因であり、ウイルスの種類はライノウイルス、コロナウイルス、RS ウイルスなど様々です。症状としては鼻症状(鼻水、鼻詰まり)やのどの痛みで、時に発熱、頭痛、だるさを伴う事があります。下気道まで炎症が広がると咳、たんがみられます。治療は基本、安静、栄養補給です。特効薬はありません。「自分の免疫力で治る」のであって「薬で治す訳ではない」のです。一般的な風邪薬は咳や鼻水などの症状を緩和させるだけに過ぎません。また抗生物質はかぜの原因であるウイルスには効果がありません。
インフルエンザウイルス感染症
インフルエンザウイルスはA 型、B 型、C 型に分けられ、特に大きな流行を起こすのはA 型とB 型です。発症様式はインフルエンザに感染した患者の飛沫(咳やくしゃみなどで出るエアロゾル)を吸引し、飛沫が咽頭や気管支に付着する事で感染します。症状は高熱、咽頭痛、頭痛、関節痛、倦怠感等の全身症状です。治療は抗ウイルス薬で内服、吸入、点滴など様々な方法があります。
肺炎
細菌、ウイルス、抗酸菌、真菌、寄生虫など様々な微生物によって起こる感染症です。本来肺には防御機構があり、吸引した異物はせき反射によって排出したり気道内の粘液分泌によって排泄されたり、体内の免疫系によって排除されますが、体の抵抗力が弱った状態(飲酒、喫煙、糖尿病、心不全、高齢、COPD)になると防御しきれずに発症します。症状としては胸痛、悪寒、発熱、息切れなどです。診断の多くは胸部レントゲン写真で肺に異常な影がみつかる事でわかります。原因微生物の特定には喀痰検査を行います。多くは細菌性肺炎です。肺炎球菌が原因となる事が多いので喀痰検査も行いつつ、まずは肺炎球菌に効果のある抗生剤投与が行われます。
気管支喘息
空気の通り道である気管支が狭くなる事で息が吐きにくく呼吸が苦しくなる病態です。気管支に慢性的な炎症があり、そこに何かしらの刺激が加わる事で気管支の壁が壊れて粘液が分泌し、気管支自体が痙攣して更に狭くなる事で発作が起こります。症状は呼気時喘鳴(息を吐こうとすると「ヒューヒュー」「ゼーゼー」する)です。治療薬として炎症を抑える吸入ステロイドや気管支を拡張させる吸入ベータ刺激薬などがあります。
COPD
慢性閉塞性肺疾患の略です。タバコが原因で起こる肺の炎症性疾患です。タバコの煙が原因で気管支に炎症が起こり咳やたんが出たり、気管支が細くなる事で空気の流れが悪くなります。また気管支の奥の肺胞という部分が壊れると肺気腫という状態になり酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が悪くなります。症状は歩いた時や階段を上り下りする時の息切れや、咳、たんが多くなる事です。診断は呼吸機能検査で行います。治療の基本は生活習慣の改善ですが、効果がみられない場合には気管支拡張薬およびステロイド薬の吸入を行います。それでも低酸素血症に改善がみられない場合在宅酸素療法を行います。
高血圧症
脳卒中と心臓病、慢性腎臓病の原因と考えられています。常に血圧が高い状態が続いていると脳や心臓、腎臓に負担がかかり脳出血、心不全、腎不全を発症します。高血圧に加え喫煙している人、糖尿病、脂質異常症を合併している人は更に心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患も発症します。目標血圧は140/90mmHg 以下とされていますが、病院に行くと普段より血圧が高くなる人が多いため、特に自宅で測定する家庭血圧が大事です。朝起きた時に血圧が高い人ほど脳卒中や心臓病などを発症する危険性が高いため起床後30分の血圧測定をおすすめします。家庭血圧の目標は135/85mmHg 以下です。基本治療は塩分制限等による食事療法ですが、改善が見られない場合薬物療法となります。
脂質異常症
血液中には様々な脂質があり健康診断などでよく調べられるのがLDL コレステロール、HDL コレステロール、中性脂肪(TG)です。LDL コレステロールはいわゆる「悪玉コレステロール」、HDL コレステロールはいわゆる「善玉コレステロール」と呼ばれており、LDL コレステロールが高い人、HDL コレステロールが低い人、中性脂肪が高い人は動脈硬化を進めると言われています。更に高齢者、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、喫煙者、ご家族に心筋梗塞の既往がある方はより危険が高まります。基本は食事療法ですが、効果が不十分な場合薬物療法となります。
糖尿病
ヒトは血糖を下げるインスリンというホルモンを膵臓で分泌していますが、食事の摂り過ぎや運動不足、肥満などが原因でインスリンの働きが悪くなると2型糖尿病を発症します。発症時に気づかないまま血糖値が高い状態が持続すると、喉がとても乾くため水分を多量に摂取し多尿となります。血糖は栄養として体に取り込まれないため体重が減り、疲れやすくなります。糖尿病の検査としては「空腹時血糖」、食事を食べた時間に関係のない「随時血糖」、1~2ヶ月間の血糖値の平均をみる「HbA1c」が重要です。空腹時血糖が126mg/dl 以上、随時血糖が200mg/dl 以上、HbA1c 6.5% 以上のいずれかが認められると「糖尿病型」と判定され再検査で同様の結果となった場合に診断が確定します。長い期間高血糖の状態が続くと動脈硬化が進み、網膜症(眼の奥にある細い血管からの出血)、腎症、神経障害など微小血管症の他、全身の動脈硬化により脳梗塞、心筋梗塞を起こす恐れがあります。基本は食事療法ですが、十分に血糖が下がらない場合薬物療法となります。
高尿酸血症
体の中に老廃物である「尿酸」が増えすぎた状態です。尿酸値が7mg/dl 以上になると高尿酸血症と診断されます。たまった尿酸が結晶化して足の親指の付け根にたまると痛風発作を起こします(痛風の由来は「風が吹くだけでも痛い」ところから来ています)。他にも様々な場所に結晶がたまると言われており血管に尿酸結晶がたまる事は動脈硬化の原因のひとつとも考えられています。
内科(急性期)
心不全
心筋梗塞や心臓弁膜症など心臓そのものの病気や高血圧が原因で起こります。心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしていますが、心不全になると十分にポンプ機能が果たせないため血液循環不良の状態となります。症状として心不全には「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられますが、「急性心不全」は急激な呼吸困難や胸の苦しみ、動悸、顔面蒼白等がみられ、急激に悪化すると意識障害も出現します。「慢性心不全」は日常生活で自覚する呼吸苦、息切れ、咳、疲れやすさ、動悸、足のむくみ等です。診断としては胸部レントゲン写真で心臓肥大、肺うっ血(肺に水がたまっている状態)が見られたり、血液検査で心不全の際に数値が高くなるBNPが上昇します。また心筋梗塞や不整脈が疑われる場合には心電図を、弁膜症が疑われる場合には心臓超音波検査を行います。治療は心不全の原因疾患に対する治療が主です。慢性心不全の場合、血圧を下げる薬や利尿薬(おしっこの量を増やす薬)で心臓の負担を減らします。
急性心筋梗塞
心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈と呼ばれる血管が動脈硬化等で狭くなった状態を「狭心症」といい、完全に詰まった状態を「心筋梗塞」といいます。症状は30分以上続く胸の痛み、冷や汗です。「狭心症」は症状が一時的であるのに対して「心筋梗塞」は安静にしても改善しないです。診断は心電図、血液検査、心臓超音波等です。治療は心臓カテーテル検査にて閉塞血管にステントを入れる事で開通させます。心筋梗塞は時間の経過と共に心臓の筋肉の壊死が広がるため、いかに早く診断をつけて緊急に治療するかがポイントとなります。
脳卒中
脳の血管が詰まる事や、破れて出血する事により脳に障害が出る病態です。脳の血管が詰まった状態を「脳梗塞」といい、破れて出血する状態には「脳出血」「くも膜下出血」「硬膜下血腫」「硬膜外血腫」などがあります。「脳梗塞」の原因としては動脈硬化が進む事で血管が狭くなった事により血管が詰まったり、心臓の不整脈が原因で血液の塊が脳の血管を塞ぐ事で起こります。「脳出血」は高血圧や年齢が原因となる事が多く、クモ膜下出血は脳の動脈にできた瘤が破裂する事で起こります。「硬膜外血腫」や「硬膜下血腫」は主に頭部外傷が原因で起こります。症状は様々ですが脳卒中でよくあるのは「体半分の手足の麻痺」です。その他「脳梗塞」では「ろれつが回らない」等があります。「脳出血」では「突然の頭痛」、「嘔吐」、「意識障害」等があります。診断は頭部CT やMRI です。