当院での大腸ポリープ切除術について

従来型の大腸ポリープ切除は「内視鏡的大腸粘膜切除術(EMR)」と呼ばれ、ポリープに生理食塩液等を注射して盛り上げ、金属製の輪(「スネア」)で締めながら電気を流して焼き切る方法です。電気の力を使う事で大きな病変を切除できるのが特長ですが、その一方でポリープ切除と共に太い血管が切れて起こる「大量出血」や、電気の熱が大腸深くに伝わる事で穴が開く「消化管穿孔」という合併症がありました。

 そのため現在ではより安全に切除が可能な「コールドポリペクトミー」という方法が開発されました。従来のEMR と同様「スネア」を使うのは一緒ですが、電気の力を使用せずそのまま締めて切る方法です。EMR と比べると切断力が弱いため、「大量出血」や「消化管穿孔」が殆ど起こらないのが特長です。ただし大きな病変を切除する事が難しいため9mm 以下の大腸ポリープが治療適応になります。ただし「小さなポリープ」とはいえ9mm 以下の大腸ポリープは大腸腫瘍の大半を占めており、当院での大腸ポリープ治療データでは実に9割以上がコールドポリペクトミーで切除されています。つまりこの世に存在する大腸腫瘍うち9割は「より安全な大腸ポリープ切除」が可能といえます。

・当院では9mm 以下の腫瘍性ポリープは原則全てコールドポリペクトミーで切除しています。合併症は切除後出血が0.1% にみられます。

・当院では10mm-20mm の腫瘍性ポリープはEMR で切除しています。合併症は切除後出血、消化管穿孔が0.2-0.5% です。

*なお、20mm を超える腫瘍が認められた場合にはより高度な治療が必要となりますので後日入院加療の可能な施設へご紹介となります。